2012.5.1 つらい登りのあとは最高のごほうびが

 4月28~29日に穂高に行ってきました。小生にとって、この4月29日は思い入れがあり、何とかいい景色の写真が撮れないかと思い、北穂高岳からのご来光を求め27日の夜に一人で出発をしました。夜行のドライブの後のロングコースで、正直、頂上まで行けるのは五分五分だと考えていました。今日の中日新聞1面に、前穂高岳、奥穂高岳、涸沢岳、北穂高岳に囲まれた「涸沢(からさわ)」テント村が載っていましたね。ここは穂高の景色が最高で、おでんありーの、生ビールあり~の。天国です。この涸沢に到着し、12時に出発できる状態であれば、北穂高岳に挑戦しようと決めての出発でした。焦らず、マイペースで体力を温存しながら歩くこと5時間半、11時過ぎに涸沢に到着しました。天気は最高で行くしかない、見上げると北穂高岳に向かう沢には中ごろに2人だけが取りついているのが見えました。その前にはだれも登っておらず雪に道はまだついていないとのこと。追いつくかもしれないかも?などと浅はかのことを考えての出発でした。

 初めの1/4程度はまだ順調でした。しかし、次第に気温は上がり、雪が解けてきます。表面は凍っているように見えますが、実に薄い氷で、その下は空洞ともいえるグッスグッスの雪になっていきました。途中の雪崩のあと(デブリといいます)のところで、先行する人の踏み跡を見失いましたが視界はいいし、どこでも歩けるのでいいやと考え踏み跡など気にせず登って行きました。このあたりからです。一歩踏み込むと膝までズズッと埋まっていきます。埋まらず立てた、と思ったら、ズボッ…。時に腰までズズズボッ。ピッケルを雪面にさしても頭まで抵抗なく刺さってしまい、左手で表面の氷をそおっと押さえて手足で体重を分散し四つん這いで登っていきます。それでもズズズボッ!。2人目の登山者はあきらめて下山されました。しかしお尻ですべって降りて行かれましたが、雪が柔らかくほとんど滑りません。立ち上がると腰まで埋もっています。下りるに下りられません。先行する人の踏み跡に戻れたのは頂上直下の急斜面でした。これで楽になるかと思えば何のその、四つんばいでないと、ズボッ。このあたりで体力は限界になり、1歩、歩くのに息を5回くらいしないと脚が前に出ません。とうとう先行する人には追いつけず情けないとも思いました。追いつくのにわざと追いつかなかったわけではないですので泥棒ではありませんが、小生のようなものを、他人のラッセルした道を楽に登る「ラッセル泥棒」というのです。しかし、ラッセルもつらいですが、このような状態の斜面はそれ以上の「地獄」でした。

 その地獄を味わった後の景色は最高でした。頂上は独り占めです。写真は頂上からの槍ヶ岳ですが、前穂高岳頂上とそこから連続するギザギザの北尾根、北穂高岳の巨岩、飛騨側の笠が岳…雲一つない絶景でした。北穂高岳の頂上には快適な小屋がありますが、連休初日にここまで登ってきたのは2人だけ。小屋も2人占めでした。翌朝の常念岳から登るご来光はこれまた最高で、念願の写真を撮って下りてきました。翌朝はもちろん氷点下で雪は締まっており、下りは滑って落ちないようにしなければなりません。順調に下山、14時にはふもとの温泉につかり、明るいうちに帰名することができました。

 苦しいことを乗り越えれば、必ずごほうびがあります。やっぱり山は大好きで、苦労は買ってでもいたします。

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